はじめに
オンラインフォーラムは、善意に基づく知見の共有によって成り立つ貴重な場です。
昨今、WordPressのGutenbergエディターの登場により、HTMLやCSSの知識がなくても容易にホームページを作れるようになりました。
このため、安易にノーコードでホームページ(案件)を請け負う制作者が少なからず見受けられます。
しかし時折、フォーラムにおいて回答者に対して「回答は不要だ」「専門家以外は口を出すな」といった暴言を吐くユーザーが存在します。
基礎知識が乏しいまま案件を請け負い、自身のスキル不足で実現できないことをテーマのせいにしたり、助言を跳ね除けたりする姿勢は、プロとしての成長を止めるだけでなく、コミュニティにおける自身の首を絞めることにも繋がります。
この記事では、テーマの役割と、利用者に求められるリテラシーについて改めて考えます。
テーマはあくまで「汎用的なベース」である
多くのWordPressテーマは、不特定多数のユーザーが利用することを想定し、高い汎用性を持って設計されています。
これは自動車に例えるなら「市販車」そのものです。
市販車は誰もが公道を走れるように作られていますが、特定のユーザーが「独自のエアロパーツを最初から付けておけ」と求めても、メーカーがそれに応えることはありません。
改造(カスタマイズ)するか否かはオーナーの要望次第であり、市販車に標準装備されていないのは当然のことだからです。
例えばフォーラムでは時折、「LP(ランディングページ)案件で必須とされるフローティングボタンを、テーマの標準機能(ウィジェットなど)として追加してほしい」といった要望が見られます。
CV(コンバージョン)率を高めるために重要だから、というクライアント側の需要は理解できますが、それを全てテーマ側に依存しようとするのは、「市販車に最初からカスタムパーツをつけておけ」と要求するようなものです。
テーマにない機能を求めるなら、それは個別にカスタマイズすべき領域なのです。
「個別の要望」は制作者の技術で解決すべき領域
Web制作を仕事として請け負う以上、クライアント固有の要望に応えるのは制作者の責任です。
- テーマの機能
土台となる共通のプラットフォーム
- カスタマイズ
クライアントの個別のこだわりを実現する工程
もしテーマに備わっていない機能をクライアントが求めているのであれば、それは制作者が自らコードを書き、個別に実装すべき領域です。
前述のフローティングボタンにしても、HTMLやCSSを組み合わせて自ら実装し、クライアントの要望を叶えることこそがプロの仕事です。
本来、テーマの足りない機能を自らの技術で補い、顧客の個別具体的な要望を実現するところにこそサービスとしての価値があり、お金が発生します。
それこそが、Webデザイナーや制作者が介在する意味にほかなりません。
全てがテーマのボタン一つで完結してしまえば、制作者という職業そのものの存在意義が失われてしまいます。
自分のスキルが及ばないために実現できないことを、テーマの機能不足として転嫁したり、アドバイスをくれる他者に矛先を向けたりするのは、プロとしての本分を忘れた「お門違い」な振る舞いと言わざるを得ません。
孤立を招く「耳を貸さない姿勢」
せっかくの意見や回答に対して耳を貸さないユーザーは、フォーラム内で瞬く間に「面倒なユーザー」として認識されます。
回答者はボランティアであり、困っている当事者ではありません。
暴言を吐かれれば誰も相手にしなくなり、結果として意見交換は途絶え、問題は未解決のまま放置されることになります。
周囲にとって、そのユーザーの問題が解決しなくとも実害は何一つないという厳しい現実を知るべきです。
さいごに
道具(テーマ)を使いこなすには、相応の基礎知識と、他者の知恵を尊重する姿勢が不可欠です。
基本を疎かにしたまま、機能の限界をテーマや他者のせいにし続ける限り、真の解決には至りません。
テーマを「何でもやってくれる魔法」ではなく、自らの技術を補完するツールとして捉えること。
そして、足りない部分を自分の腕で補い、付加価値に変えていくこと。
その当たり前の姿勢とプライドこそが、プロの制作者として歩むための大前提です。



